歯磨き剤

歯磨き剤の適量はどれくらい?

歯磨き粉を付けた歯ブラシ

歯磨き剤(歯磨き粉)はたくさん使ったほうがその分洗浄効果も大きく、ピカピカに磨けるイメージがあります。 歯磨き剤を付けるから泡立つわけで、ならばたっぷり使って泡だらけになったほうが芸能人のような真っ白の歯に近づけるのではないかと思うのも無理はありません。
歯磨き剤のイメージ図や広告でも歯ブラシからこぼれ落ちそうなほど大量に歯磨き剤をつけているのですが、本当にそこまでの量が必要なのかというと、実は多すぎです。 ブラシの端から端まで1センチも使う意味は全くありません。 多くてもせいぜい5ミリ、それ以上はどんなに歯の汚れている人、歯の大きな人でも効果はさほど変わりません。
たくさん使った方がよく泡立ちますのでピカピカに磨ける気がするのですが、泡立つだけです。
一度にたくさん使えば泡立たせる成分も多くなりますが、これは泡立ちをよくするための合成界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)が多いというだけで、合成界面活性剤が多いほど洗浄効果に期待できるということにはなりません。 洗浄効果は同程度でも、泡がいっぱいだったり香料のおかげでいい匂いになるとなんとなく磨けた気分になったと錯覚しているだけのことです。
歯磨き剤に含まれる香料でお口もいい香りに、口の中が泡まみれでピカピカになったと誤魔化しているだけで、洗浄効果はその半分程度でも変わらないのです。 歯磨きメーカーとしては一度に倍使ってくれたほうが嬉しいかもしれませんし、そのためにも広告ではたっぷりな量のイメージ映像を使っているのでしょうが、医学的に見れば全く無駄な行為です。
歯を磨くのに本当に必要なのは研磨剤(リン酸水素カルシウム)です。 研磨剤には歯に付着した色素を落とす役割があるのでタバコのヤニやコーヒーで黄色くなった歯に効果的ですが、文字通り歯を研磨することになるので、大量に使っていると必要以上にどんどん歯を削っていくことになります。
極端なことをいえば多すぎる歯磨き剤の使用は、大事な歯を毎日少しずつ削り取ってちいさくちいさくしていくことになります。 ある程度のところで歯の神経が露出して、痛くてとても磨けなくはなりますが、そこまで削り取るだけでも充分重症です。
歯磨きに使う歯磨き剤は適量をちゃんと理解して、不必要なまでの量を一度に使うことはやめましょう。 薬も過ぎれば毒となります。
自分の考えている適量に自信がなければかかりつけの歯科医院で教わったり、インターネットで調べるなどいくらでも方法はあります。